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健康コラム―中国人の生活の知恵(5) 百薬の長―“お酒”の賢い飲み方
NL09110106
健康、中国


健康コラム―中国人の生活の知恵(5) 百薬の長―“お酒”の賢い飲み方

北京グローリークリニック院長
朴順子

もうすぐ師走。これからしばらくは忘年会や各種の会合、年が明ければ新年会という具合に何かにつけてお酒を飲む機会が増える季節ですね。

古来、中国では「酒は百薬の長」といわれてきました。隋代の少し前の紀元500年頃、著明な医学者の陶弘景という人が漢方大全の一つである『神農本草経集注』を編纂しました。この書には「酒は有毒であるが、薬の勢いをつけ百邪や悪毒の気を殺す」とあり、お酒は基本的には「有毒」とされています。但し、それを適量用いた時に初めて最良の薬となる、とあります。

適量のお酒が体に良いことは、近年の研究で医学的にも証明されています。では適量とはいったいどの位なのでしょうか。また健康によい飲み方とはどのようなものでしょうか。
今回はお酒の賢い飲み方をご紹介しましょう。

一、飲む前にまずおつまみ
お酒を飲む前にはまず適当におつまみをお腹に入れ、けっして空腹では飲まないこと。これは誰でも知っている悪酔いしない秘訣ですね。またお酒を飲むときにはゆっくりと味わい、一気に飲まないこともそうです。酒の主成分であるアルコールは、飲んで5分後には血液中に入り、30分から2時間すると血中のアルコール濃度はピークに達します。お酒の早飲みは血中のアルコール濃度を一気に高め、たちまち酩酊状態に仕上げることになります。

二、お酒は度を過ごさず適量を
同じようにお酒を飲んでも、男性と女性ではアルコールの作用と影響に違いがあります。男性の場合は大量に飲むと高血圧や動脈硬化など血管の病変を引き起こす例が多いのですが、女性の場合はおもに心筋がダメージを受けることで心臓肥大になるケースが多く見られます。いわゆる適量とは、成人男性では一日のアルコール量が25グラム以下、女性は15グラム以下です。暴飲や深酒はくれぐれも慎みましょう。たまの飲み過ぎも健康にはけっして良くありません。

三、健康に良い適量のワインとビール
研究の結果、適量のワインやビールは健康に良いことが分かっています。米国のある研究機関が飲酒習慣を持つ糖尿病患者2400人を観察しつづけた結果、心臓病を患う人が減少していることを発見しました(糖尿病患者の死因のトップは心臓病)。毎日1~2杯を飲んだ人はそうでない人と比べて、心臓病にかかる可能性が36%減りました。
アルコール度の高いお酒でも効果はワインやビールと同様です。
さらに25~42才までの健康な女性10万九千人を対象にした調査では、毎日1~2杯飲むと糖尿病にかかる確率は33%減り、毎日半杯以下もしくは2~3杯以上飲んだ場合には20%減少しました。

驚いたことには、どんなお酒でも飲む量が2杯以下であれば糖尿病の予防に効くという結果まで出ました。しかしアルコール度の高いお酒を2杯以上飲むと逆に糖尿病にかかるリスクが高くなります。また、毎日少量のお酒を飲めば脳への血液供給が良くなり、高齢者がアルツハイマーや認知症にかかるリスクを減らせます。赤ワインが健康に良いことはよく知られていますが、ワインには心臓血管病や癌の予防効果もあります。

四、早く酔いを醒ますには
お酒を飲む以上は酔いを早く醒ます方法を知っておくべきですね。正体もなく酔っぱらった姿は相手に失礼ですし、酔ったあとの頭痛や目眩、胃のむかつき、発熱などは本人もつらいものです。「飲む前に備えあり」が上策です。

次にご紹介する9種類の食品は酒に酔った後の不快な症状をきっと軽くしてくれますよ。

ヨーグルト→酔ったあとのイライラ
モンゴル人はいずれも酒豪ぞろいですが、その酔い醒ましの秘訣はなんとヨーグルトです。飲み過ぎたと思ったらヨーグルトを飲みます。ヨーグルトは胃壁に膜をつくって胃の粘膜を保護し、アルコールの吸収を緩やかにしてくれるのです。またヨーグルトはカルシウムを大量に含んでいるので、とりわけ酒酔いのイライラした気持ちを落ち着かせるのに効果があります。

蜂蜜水→頭痛
蜂蜜を水に溶かして飲むと飲酒による頭痛を抑えられます。これは蜂蜜に含まれるある種の果糖(フラクトース)がアルコールの分解吸収を速めてくれるからで、とくにワインの飲み過ぎによる頭痛には効果的です。また蜂蜜には鎮静作用があるので寝つきも良くなり、次の日は頭痛も消えています。

トマトジュース→目眩
トマトジュースにも同様の果糖(フラクトース)が多く含まれていて、アルコールの分解吸収を速めてくれます。一回に300ml以上飲めば酔ったあとの目眩がしだいに消えます。トマトは生のまま食べるよりもジュースにしたほうが効くようです。食塩を少々入れて飲むと気持ちを落ち着かせるのにも効きます。

新鮮なぶどう→胃のもたれ、吐き気やむかつき
生のブドウに豊富に含まれている酒石酸(ワインの樽にたまる沈殿(酒石、tartar)からカリウム塩(酒石酸水素カリウム)として発見されたためこの名がある)は、アルコールとの相互作用でエステル類物質をつくり、これが体内のアルコール濃度を下げることによって酔いを醒ましてくれます。また、ブドウの酸味は胃のむかつきや吐き気を抑えてくれますし、酒を飲む前に食べれば二日酔いの予防にもなります。

スイカジュース→体温上昇を抑える
天然の「白虎湯」(漢方医学では古典となっている著名な処方)といわれるスイカジュースは、スイカの利尿効果でアルコールを尿から排出させて体内への吸収を抑制し、体温の上昇を防いでくれます。スイカジュースにはもともと熱を下げ炎症を抑える作用があります。少量の食塩を加えて飲むと、トマトジュースと同様に気持ちを落ち着かせるのにも効果があります。

文旦(ブンタン、和名はザボン)→口中の酒臭さを消す
明代の著名な医学者である李時珍は自著の「本草綱目」の中で、ブンタンは酒の酔いを醒ます効能があると書いています。実験によれば、ブンタンの果肉を賽の目に切り、砂糖をまぶして食べると口中の酒臭さが驚くほど消えます。ブンタンは自然交雑により色々な品種を生み出していますが、ザボンの血を引いているグレープフルーツ、ナツミカン、ハッサクなどはいずれも同様の効果があります。

セロリジュース→胃腸の不快、顔の発赤
お酒を飲んで胃腸が不快なときは、セロリをジュースにして飲むと見違えるほどすっきりします。これはセロリに含まれている豊富なビタミンB類がアルコールを分解してくれるからです。胃腸の弱い人は、できればお酒を飲む前にセロリジュースを飲んで予防しておくとよいでしょう。顔の赤みを消すのにも効きます。コンビニで売られているセロリ入りの野菜ジュースなどは手軽に手に入りますから、カバンに一本忍ばせておくといいですね。

バナナ→動悸、息苦しさ
飲んだあと動悸や息苦しさを感じたら、バナナを1~3本食べると血糖濃度が高くなり、血液中のアルコール濃度を下げて酔いを醒ましてくれます。また動悸を鎮め、息苦しい圧迫感を取り除いてくれます。

橄欖(カンラン)→食欲不振
橄欖は俗に青果と呼ばれ、オリーブとよく混同されますが別の種です。カンランには解毒作用があり、蜜漬けや薬酒にして摂取すると、胃の熱を冷まし食欲不振を解消してくれる良薬になります。そのまま食べても良いのですが、氷砂糖を加えて弱火で煮込むと食べやすくなります。


53度の茅台酒紹興酒づくり



甕から量り売りする紹興酒



中国では、宴会となれば「白酒」といわれるリキュール(約50度前後、中には60度以上のものも)が主に乾杯用に使われ、ショットグラスになみなみと注がれた「白酒」を何だかんだと理由を付けて乾杯するのが慣わしのようになっています。ちなみに日本でよく飲まれる「紹興酒」(約15度前後で日本酒と同じぐらい)は南方のお酒とされ、北京を含む北方ではあまり飲まれないお酒です。

乾杯も5杯、6杯と進むにつれ、宴も賑やかになり、まさしく唐代の医書『食療本草』に「血脈を通じ、胃腸を厚くし、皮膚を潤し、湿気を散じ、憂いを消し、怒りを発し、言を述べ、意を暢(の)べる」と記されたお酒の効果が充分に見られるようになるのですが、ここで納められるかどうかが「薬」にするのか「毒」になるのかの境目といえるでしょう。
お酒は楽しく飲んでこそ、その本領である「陽気」を取り入れることができるのです。お酒を飲むのであれば、ぜひ楽しく飲める範囲に納めて健康維持に役立てましょう。





◇編集部より◇8月よりコラム「中国人の生活の知恵」を開始しました。中国四千年とも五千年とも言われる長い歴史の中で培われた先人の深い知恵と最新の医学情報に基づいた、日々を健康に過ごすためのアドバイスをお届けします。読後の感想、意見、質問および今後取り上げて欲しい話題のリクエストなどを受け付けます。
ニュースレター連絡コーナーhttp://www.jomf.or.jp/ninq/index.htmlからご連絡お願い申し上げます。

「健康コラム―中国人の生活の知恵」索引コーナー
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