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ニュースレター(機関紙)

(新シリーズ)心のサプリメント コーチングを学ぼう(1) ― 香港で実施したコミュニケーション講座から その1―
NL11090105
海外赴任者、メンタルヘルス、コーチング / / / / / / / / / / /

■新シリーズ■心のサプリメント コーチングを学ぼう

コーチングという言葉、多くの方がご存じと思いますが、今回は海外生活における実践のレポートをご紹介致します。
昨年7月と今年3月の2回にわたって香港日本人倶楽部においてコミュニケーション講座が開催されました。その報告を含めコーチングのスキルについて香港で講師を務めた栗栖佳子氏(ビジネスコーチ・キャリアカウンセラー)と企画したコーディネーターの下野淳子氏によるコラムをお届けすることになりました。海外生活で応用できるヒントになることももちろんあります。第1回は下野氏のコラムです。





心のサプリメント コーチングを学ぼう(1)
 ― 香港で実施したコミュニケーション講座から その1 ―



ルックス コンサルティング∞ジャパン代表
海外生活コンサルタント・異文化研修コーディネーター
下野淳子

皆さまはじめまして。下野淳子と申します。今回は海外で生活する駐在員やそのご家族の皆様に 『こころの予防接種』として『コーチングのコミュニケーションスキル』 を是非ご紹介させていただきたいと思います。
先ず簡単に自己紹介させて頂きますと私は過去に約3年間、夫の海外駐在に伴い欧州で駐在員妻(以下、駐妻)の経験を致しました。
その時に駐妻達の心の叫び(駐妻間の人間関係問題、子育て問題etc.)を多く耳にしました。現在も海外に駐在員をおかれている企業も数多くあり、それに同行されるご家族も多数いらっしゃいますが、今でも海外で生活をしている沢山の駐妻から心の叫びが届いています。

私が実体験で感じた海外に生活する日本人の抱える様々な問題点をあげてみますと主なものは4つあると思います。
① 言葉の問題
② 周りとの人間関係の難しさ
③ 子育てに関する問題(母親同士の人間関系)
④ 環境の変化による生活上の不安、不満。

上記の様ないろいろな要素から「心が病む」、「うつ状態」になるという事が起こっていると感じています。
海外に住む日本人が生き生きと元気に暮らし、またこの素晴らしい体験(経験)を未来の自分達の為に活かしてほしいと強く感じていました。

そんな中、栗栖佳子コーチによるコミュニケーションスキルの一つの方法であるコーチングスキルと出会う機会がありました。
メンタルコーチング とは簡単に言うと「自分の気持ちをスッキリさせ、自己肯定感を高め、心が病んでしまう前(未病)に役立つ「心の予防接種!」 ではないかと気付きました。

そんな時、知人の紹介で香港日本人倶楽部と繋がりができ、この思いを伝えたところ、是非駐妻に紹介してほしい!と共感して頂き、2010年7月(初回)、2011年3月(第二回)と香港日本人倶楽部、商工会議所にて栗栖佳子コーチによる「コミュニケーションコーチング」、「子育てコーチング」の開催実施に至りました。

ダンナ様の会社関係での海外赴任となると「こうあらねばならない」「こうしなければならない」という「ねばならない症候群」となり自分を追い込み、自分自身を見失っていく傾向にあります。
具体的には、日本にいれば周りに気の合わない人がいてもその人から距離を置いて自分と共鳴できる人といれば良いのですが、海外ではその気の合わない人が自分の夫の上司の奥様だったりすると、もう大変です。
無理やり自分を合わせていこうと駐妻は頑張るのです。
「サイズの合わない靴を履き続ける」ようなものです。
その結果、靴擦れがおき、ますますひどくなって歩けなくなる・・このような感じです。

コーチングとは、この「サイズの合わない靴」を脱ぎ捨てる勇気を持つお手伝い、または、新しい靴に履き替える為の「自分の靴探し」のお手伝いをするひとつの方法ではないかと思います。

スポーツのマラソンのコーチと同じで、マラソンランナーを勇気付け、やる気を引き出し、自己ベストタイムで最終ゴールが切れるようにランナーを支え続ける事なのです。

例えば本来、女性は「KKS、WWS、MMS:この3Sが満たされて初めて幸福感を得る傾向があります。
KKS =かまって!かまって!症候群
WWS =私は!私は!症候群
MMS =認めて!認めて!症候群
これは海外で生活をしている、していないに関わらず、ほとんどの女性が抱いているものですがそれが海外生活を強いられる事によって、
Non KKS :誰もかまってくれない。
=海外では自ら行動しなければ自分の存在すら認めてもらえないという土壌で日本人特有の「だまっていても分かってくれる」などはありえない社会です。

Non WWS :自己主張ができない。
=横並びで周りの奥様に合わせていかなければと自分の感情を押し殺しています。

Non MMS :自分の存在価値を認めてもらえない(夫の社会性の裏に隠れてしまう)
=どこどこ会社の何々主任の奥様の~さん。というように個人としてのアイデンティティの喪失感を味わいます。

以上のように駐妻は自分が満たされない感情に陥りやすく、ニュートラルに物事をとらえられなくなる女性特有のメンタルサポートにもコーチングは有効です。

実際、私自身の経験から、初めの3カ月は生活設営等で忙しく、あまりいろんな事が考えられる余裕がない時期で、それを過ぎるあたりから時間に余裕ができるがどこへ行っても言葉が通じないので買い物もしゃべらなくて済むようなコンベア形式精算のスーパーですましたり、賞味期限の切れたインスタント食品ですましたり・・・どんどん、引きこもり気味になりました。

しかしながら、駐妻集団からの「お茶会」などと称する懇親会に招かれるのですが、ここでも「夫人達に合わさなければ!」と自己主張のできない会話で、お茶を濁して過ごす機会も多くありました。

また、赴任すると「先輩駐妻」という立場の方々がいて、「新米駐妻」にお世話をやきます。この先輩後輩関係が年功序列となっていれば良いのですが、とても年若い先輩である場合もあり、年齢が高くなってから初めての海外生活という方もいらっしゃいます。そんな時、先輩風をふかす若者に生活を指導されるのですから、あまり素直に受け入れられない場合もあります。
また、逆に夫の上司となる方の奥様が来られた場合、先輩駐妻は気を使ってあれこれアドバイスするのですが、逆に「生活指導」をされたり、通訳に使われたり、コキ使われ不満炸裂となりストレスフルな事になるのですが、これも「夫の為」と我慢して笑顔で応戦します。

ディナーに家庭に招かれたりした時も、あまり気が進まなくても、「参加しなければ!」と満面の笑顔で持ち堪えます。
そして、招かれたら招き返すというような妙なルールがあって、気が乗らなくても「ようこそ~」と満面の笑顔でお迎えします!

このように、懇親会やディナー会などへの参加はプチ欝のときには、人に合わせていかなければならないという気持ちは大逆効果で、言いたい事も言えず、聞いてもらう事もできず、「そうですよねぇ~」と心にも思っていないのに同調してみたり、ヘンに自分を装ってみたり。
帰って一人になった時にドーッと疲れました。

そして、疲れて帰ってくる夫に愚痴をいい、夫の方も聞きたくないので「もう、テキトーに上手くやっといてよー!俺は忙しいんだ!」と・・家庭崩壊の序曲です。その結果益々孤独感が増し、先程の3Sはノックアウト!! 帰りたい気持ちが満開になります。

そんな日々が続くと「気ばっかり使う、つまらない毎日」になり、そして「もう帰国したい」と思う日がやってきます。このような感情になり始めるのは半年~一年ぐらいでしょうか。(よく言われる事ですが、一年過ぎたら任期中はもつと言われていました。この初めの一年までが勝負です。)

私の場合は、幸いそんな気持ちを夫に訴えたところ厳しく助言され「帰りたかったら、帰ったら」「海外では自分で動かないと楽しい事なんか待っていても何も起こらないよ」と言われて初めて気づき、動き出し、語学校にも通い始め、そこからはどんどん、自ら行動できるようになりました。

このような行き詰った時に日本語でのコミュニケーションコーチング等のセミナーがあれば自己啓発的にもっと前向きに考えたり、行動できたりしたのではないかと思います。

コミュニケーションコーチングの中の参加者同士のワークショップでは、「自分の中にある言いたい事を口に出して言う」または、「相手の話を黙って聴く」というような事を行いますが、その時に出てくる真実の言葉(本音)で参加者同士の本当の意味でのコミュニケーションが出来ていきます。
このような日本人同士のセミナーに参加する事によって参加者同士の横の繋がりができ、新しい人間関係の広がりができていくようにも思います。

香港での開催に際し、どこからの資金援助もない中、このような提案を心良く引き受けて下さいました栗栖コーチには、深い感謝の気持ちでいっぱいです!

向かって左:栗栖さん、右:下野

そして、香港での開催時に、参加者の皆さんの表情は初めは固く緊張したものでしたが、講座終了後にはスッキリとした、イキイキとした笑顔の表情に変られていたので、このコーチングの意義と重要性を確信し、「この提案は間違っていなかった!」と確信致しました。

コーチングがもたらす、効果というのはあらゆる人間関係に有効な「心のワクチン」であり「心のサプリメント」ではないかと考えます。

ただ、海外で生活するという事を満喫しているご家族もたくさんいらっしゃる事も事実です。その様な方達には益々前向きに異文化を吸収していく為の自己啓発となるセミナーだと思います。

例えば
① 個人にとって、家庭内(夫、妻、子供)のコミュニケーションの良好性は
メンタルヘルスが健全 ⇒「夫の仕事へのやる気UP!=利益UP!
② 企業にとって、部下やローカルスタッフとの良好な関係は自分自身の心の健康を向上させて行くことであり、また家族、自分を取り巻く人間関係が上手くいく事
 ⇒モチベーションUP!=利益UP!に繋がります

「①+②=企業の利益!」という法則を認識して頂きたいところです。



駐在員本人はもちろん、そのご家族の心の健康「メンタルヘルス」を維持して行くことは、今や企業責任だと考えます。
企業のメンタルヘルス対策は企業経営のリスクの視点からも非常に重要です。
この対策を怠ると、訴訟問題への発展、風評の蔓延、モチベーションの低下、企業財政の圧迫等、大きな経営リスクとなり、大きな利益の損失に繋がります。

今や日本の三大疾病といわれている「うつ病」うつ病とは決して心の弱い人がなる訳ではなく、逆に責任感のある困難に立ち向かっていく人に多いと言われています。
ですから、メタボ検診のように、ならない為の予防、未病につとめることこそが最も効果的な対策だと思っています。
黄熱、狂犬病、破傷風等のワクチンを受けるように、「心のワクチン!」として、メンタルヘルスコーチングの有効性を強く感じています。

コーチングは専門医による医療のカウンセリングではありません。
そのような説明も含め、次回は2010年7月と2011年3月に実施致しました「コミュニケーションコーチング」「子育てコーチング」を参考にコーチングについてお話しさせて頂きます。


=執筆者略歴=
下 野 淳 子  :海外生活コンサルタント・異文化研修コーディネーター

短期大学(英文科)卒業後、大手総合商社にて勤務。
その後、派遣社員として大手総合商社3社、大手電器メーカー1社にて各社、海外部門の貿易業務に20年以上に亘り勤務する。
その間に、夫の海外赴任に伴いイタリア、ドイツにて海外生活を経験する。
在職中に海外との取引の中で、異文化コミュニケーションの難しさを経験し、円滑にコミュニケーションを取る為の方法を体得する。
2011年 Lux Consulting ∞Japan(ルックス コンサルティング ∞ジャパン)を設立。




=編集部より=この企画にあたり、編集部スタッフは福井県へ出向き、敦賀市ボランティアセンター主催「聞き上手」ボランティア養成講座にて、栗栖講師の実際の講義を体験しました。8回シリーズの4回目でしたが見知らぬ参加者同士がうち解けてグループワークを行い、ほどよい緊張感に包まれたあっという間の120分でした。終了後、歓談中の参加者は旧知の仲といってもおかしくないような和やかさで、当方の質問(受講の感想)にも身近な人の話をちゃんと聞いてあげられるようになったetc.という成長の実感を語ってくれました。
コーチングの講座は至る所で開講されていますがこのシリーズでもコミュニケーション力UPのヒントが得られればと思います。
今後はご質問やご要望も受け付ける予定ですので、どうぞお楽しみに。