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ニュースレター(機関紙)

JOMF派遣医師便り
NL11100101
シンガポール、フィリピン、インドネシア、医療事情 / / / / / / / / / / /

◆シンガポール

シンガポール日本人会クリニック
日暮 浩実

◇Primary care partnership system (PCPS)利用枠の拡大

シンガポール厚生省(Ministry of Health, MOH)は高齢者および身体障害者がより簡便に医療を受けられるようにPrimary care partnership systemという制度を設け、2009年から施行しましたが、このほどこの利用枠が大幅に拡大されました。

今までは下記のいずれかの条件を満たすことで利用が可能でした。
65歳以上で 世帯一人当たり の月収が800シンガポールドル(約4万8000円)以下
身体に障害のあるために日常生活の基本的活動(洗濯、入浴、排泄、衣服の着脱、移動)のうち少なくとも一つができない方で世帯一人当たりの月収が800シンガポールドル(約4万8000円)以下
Public Assistance Scheme(註:生活保護のような制度)を利用されている方

この制度の対象となった方は今までは、約3万5千人ほどでした。8月15日の発表によりますと今回の改革により、より多くのシンガポール人(約71万人)がこの制度を利用できるようになるとのことです。2012年1月から新制度が開始されます。
特に大きく変わったのは①の条件で年齢条件が40歳以上となり、収入条件も1500ドル(約9万円)となりました。
たとえば75歳と74歳の老親二人、45歳と43歳の夫婦、15歳と14歳の子供二人の6人家族なら世帯の月収が6×1500=9000ドル(約54万円)以下ならば老親二人、夫婦二人の4人がこの制度を利用できることになります。

この制度を利用しますと一般医や政府系のポリクリニック、歯科医院での治療費の一部が補助を受けられます。ただ何の病気でも良いというわけではなく対象となる疾患が定められています。
 一般医での治療の対象となるのは以下の疾患です。
 急性疾患では
 風邪、下痢、頭痛、ドライアイ、結膜炎、ものもらい、耳垢、口内炎、
 簡便な皮膚疾患(感染、発疹、にきびなど)、生理痛など、腹痛、
 痔、便秘、尿路感染、筋肉痛、骨痛、関節痛、アレルギー反応

 慢性疾患では
 糖尿病、高血圧、脂質異常症、卒中(の後遺症)、喘息、
 慢性閉塞性肺疾患、統合失調症、大うつ病、
 (2011年11月からは双極性障害、痴呆も対象となる)

 
この制度による補助の額は家族一人当たりの月収入が900ドル以下の世帯(6人家族なら5400ドル(約32万円))では、急性疾患の18.5ドルは以前と同様ですが、慢性疾患では50ドルから80ドル(年間限度額が320ドルから480ドル)に引き上げられました。また、家族一人当たりの月収入が901ドルから1500ドルまでの世帯では急性疾患の場合は適応がありませんが、慢性疾患では1回50ドルが補助されます。
 
政府系のポリクリニックでは、診察料は一般シンガポール人なら約600円、PCPSの対象となる方や小児なら約310~330円となります。薬代はDrug Subsidesというシステムによって補助を受けることができます。この対象となる薬は一般医などで使われる薬全体の90%にもおよんでいます。対象となる患者さんの場合、薬代の50%が補助されていましたが、これも来年から75%まで補助されるようになります。
結局のところ、この補助を使いますと、対象となる世帯では、例えば、風邪などでかかった場合、直接の支払いはなくて済むそうです。

プライベートの私設クリニックでは診療費だけで100~200ドルが普通なことを考えますと、収入に応じて様々な医療が提供されていることがわかります。

日本の国民皆保険制度とは異なったシステムがここにあるようです。



◆マニラ

マニラ日本人会診療所
菊地 宏久

◇マニラで行われた心肺蘇生講習会―「世界に一つだけの命」

先日、コンドミニアムで心肺蘇生講習会が開催された。対象はコンドミニアムの警備員であったが、私の妻も特別に許可を得て参加させてもらった。土曜日の朝9時から午後2時まで昼食を取らずにコンドミニアムの1階にあるホールで行われた。出席者は警備員5名(男性)と一般人1名(女性)、講師は救急隊員2名。講習は英語で行われた。

講習会はAmerican Heart Association(AHA)作成の2010年最新版ガイドラインに準じてビデオも見ながら講義と実習が行われた。
人形を使いながら胸骨圧迫(いわゆる心臓マッサージ)や人工呼吸を学んだ。成人に対しての心肺蘇生訓練の後、小児に対しての蘇生法も学んだ。さらに自動体外式除細器AED(Automated External Defibrillator)を実際に使いながら一次救命処の一連の流れを訓練した。
 『反応の確認⇒周囲の人に助けをお願いしAED手配⇒呼吸の確認⇒胸骨圧迫⇒気道の確保・人工呼吸2回⇒胸骨圧迫と人工呼吸の継続⇒AED装着⇒・・・』と何度も訓練した。特に胸骨圧迫においてはAHAガイドラインに力説されている「強く」、「速く(少なくとも100回/分)」、「絶え間なく」を何度も繰り返し学んだ。
 
一般の人たちが1分間に100回というリズムを保ちながら胸骨圧迫を継続していくのはなかなか難しい。今回の訓練で使用したAEDには100回/分のリズムがメトロノームのようにピッピッピッピッ・・と誘導してくれる“自動リズム“が付いていたが、一般にそのようになっている機器は少ない。そこで今回の講師が示したのが“音楽に合わせての胸骨圧迫”である。1分間に100回のリズムで誰もがよく口ずさむ音楽(メロディー)に合わせて胸骨圧迫を行うのである。音楽(リズム)を口ずさみながら胸骨圧迫を行うことに私は当初少し不謹慎な気持ちを持ったが、フィリピンの子供も大人も誰もが知っている親しみのある曲を使うことにより、初めて参加している警備員たちも緊張せず、気軽に訓練に入り込めている様子だった。また音楽に合わせるとひとつのクール30秒間が全く疲れない。本番で音楽に合わせて胸骨圧迫を行うわけではないが訓練の中でこのような講義をしながら一般の人たちに心肺蘇生法を浸透させていくという方法はいつも音楽を愛している熱帯地域マニラではぴったりなのかもしれない。
 
日本でも同様な講習ができないものだろうか。例えばSMAPの歌「世界に一つだけの花」に合わせてみてはどうだろうか。「世界に一つだけの花・・・・」を「世界に一つだけの命:セーカイニヒートツダーケノイーノチ、セーカイニヒートツダーケノイーノチ」という具合に続けていく。この音楽/リズムに合わせると1分間に約100回の胸骨圧迫が行える。この歌に合わせ、声を出しながら心肺蘇生を続けていると、患者さんを絶対に助けてあげたい、頑張るぞ、という気持ちになるのは自分だけだろうか。

今回、今まで体験したことがない“音楽に合わせて心肺蘇生を行う講義”を体験した。日本の文化に合わせた選曲やリズムをうまく考えれば、日本でも年令・性別を問わず誰でも実用的な心肺蘇生の訓練ができると考える。

当マニラ日本人会診療所でも心肺蘇生講習会を開きたいたいと考えている。参加者の皆さんの意見を取り入れながら実践に役立つ心肺蘇生の訓練を行っていきたい。
 
最後に、以下は日本救急医学会ホームページからの抜粋です。
 (「市民のための心肺蘇生」より)
『もし、みなさんの目の前で人が倒れたら、あなたはその人に何ができますか?
日本では年間5万人もの方が、心臓突然死でなくなっておられます。
日本救急医学会では、一人でも多くの方に「心肺蘇生」を知って頂きたいと思っています。
みなさんの手で救える命があります。
さあ、いっしょに学んでいきましょう。』



◆ジャカルタ

ジャカルタ・ジャパンクラブ医療相談室
原 稔  

◇Persahabatan病院を見学してきました。呼吸器疾患のナショナルセンターです。
 
ジャカルタ東部の広い敷地にいくつもの病棟が並んでいました。正面ゲートを入ってすぐに外来棟があります。冷房が利いて、外来棟に関しては日本人の感覚でも、清潔感が保たれていました。上の階は富裕層向けの入院病棟になっています。日本人が入院するならば、ここになるでしょう。(他の棟は、外観は時代を感じさせるものでした。)VIPルームを見せてもらいましたが、他のプライベートの病院同様、ホテルの部屋のようです。また、受付のある1階には、銀行、売店等もあります。

我々がここでお世話になるとしたら、結核の場合だと思います。結核を発症し排菌している場合、飛行機に乗ることができません。(排菌しているとは、咳やくしゃみに交じって結核菌が体外に排出されている状況です。)排菌しなくなるまではインドネシアでの治療が必要になります。日本でも、排菌していなければ外来通院で治療も可能ですが、排菌している場合は隔離が必要です。

結核は、一定期間きちんと服薬を続ければ、一般には治る病気です。使用する薬は万国共通で、日本でもインドネシアでも同じです。
問題となるのは、きちんと服薬しない場合です。中途半端に治療すると、結核菌が抗菌薬に対して耐性を獲得し、薬が効かなくなることがあります。服薬を中止させないために、インドネシアでも貧困層にはDOTS(Direct Observed Treatment Short-course:直接監視下短期化学療法)が行われています。飲み忘れを防ぐために、医療従事者の目の前で飲んでもらうわけです。治療費は無料です。この施設では、途中で来なくなる患者さんの割合は5%未満とのことでした。但し、インドネシア全土でみた場合、この数字はそのままでは通用しないと思います。
DOTSが施行されているということは、それだけ結核の危険性が高く、患者のコンプライアンスは悪い地域という見方もできると思います。インドネシアは、インド、中国に次いで結核が多いと言われています。そのような環境で生活している事は認識しておくべきでしょう。咳、痰、微熱、倦怠感が長く(2週間以上)続く場合は、結核の可能性を考える必要があります。また、周囲で結核患者が出た場合も同じです。

きちんと対処すれば結核は治る病気です。周りで発生した場合は過剰反応せず、自身に結核の可能性がある場合は隠さないで冷静に対応することが肝要です。
 
 
追記
鳥インフルエンザ専用病棟は、残念ながら改装中で、10月中に完成とのことでした。集中治療室が4床、個室が4床で、全て陰圧室になるそうです。その規模からして、現在のように、鳥フルがポツリポツリと散発しているような状況を想定しての施設と感じました。
インドネシアでは、今までに178例の鳥インフルエンザが報告されていますが、その140例ほどはこの施設に収容されたそうです。
 

(以上)