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ニュースレター(機関紙)

JOMF派遣医師便り
NL11120101
シンガポール、フィリピン、インドネシア、医療事情 / / / / / / / / / / /



◆シンガポール

シンガポール日本人会クリニック
日暮 浩実

◇肺年齢(1)

最近、“肺年齢” という言葉を耳にされたことがあるかも知れません。“肺年齢”とは肺機能検査の時に測る” “1秒量”をもとに計算されるものです。1秒量は、息を思い切り深く吸って、勢い良く吐き出した時、最初の1秒で吐き出せた量のことです。
時に、この肺年齢の数字だけが一人歩きして、若さの指標のように誤解されてしまっていることもありますが、これはもともと禁煙の指導に役立てるために用いられた言葉で、慢性閉塞性肺疾患(Chronic obstructive lung disease, COPD)(下記御参照ください)にならないようにしようというのがその狙いです。誤解がおきないように肺年齢の計算方法も現在、検討が加えられつつあります。また、同時に1秒率というものも肺機能検査で測定して、肺年齢と合わせて総合的に肺の機能を評価することが大切です。
 
人の肺の機能は20歳代前半を頂点として徐々に低下していきます。25歳男性日本人で、平均的な体格の方ですと1秒量は平均で4.3Lぐらいになります。この1秒量は、個人により差はありますが、年齢と共に年間30mlぐらいずつ小さくなっていきます。すると65歳になるころには、25歳時と比べて1.2L分ぐらい減ってしまうことになります。これは肺の機能が25歳時に比べて3/4以下になってしまうことを意味します。でも、これは通常の老化であって病気ではありません。
ところが、喫煙していますと(個人差はありますが。。)、この年間の減少量が2倍ぐらい(=60ml)になってしまうといわれています。肺だけ暦年齢より2倍の速度で老化していってしまうと言ってもいいかもしれません。すると65歳時までには25歳時と比べ、煙草を吸わない方の2倍の2.4L分ぐらいの肺機能を失ってしまうことになります。これは肺の機能を半分以上失ってしまった事を意味します。
 
さすがに、こうなりますと、坂道や階段などで息切れが出るようになってきます。これは慢性閉塞性肺疾患という病気が現れたことになります。この時に、気がついて煙草をやめても、失った機能は回復できません。失ってしまった肺の機能は取り戻すことは出来ないのです。ただ、禁煙後に肺の機能を失う速度は、煙草を吸わない人と同じになります。つまり、早く禁煙すればするほど失なう肺機能の量は少なくて済むのです。つまり、煙草をやめるのは早いほど良いというわけです。
 
慢性閉塞性肺疾患(COPD) とは煙草やその他有害な微粒子を吸い込むことにより、肺の細かい構造が壊れていく病気です。息切れや咳、喀痰などの症状があります。この病気は進行性に肺の機能が落ちるため、空気を吸っているだけでは体に十分な酸素が取り込めない状態になってしまいます。そのため、動く時はもちろん、安静にしているときでも酸素を吸わなくてはならなくなることも稀ではありません。

日本には慢性閉塞性肺疾患にかかっている方が500万人ぐらい(人口の約4%)いると推計されています。しかし、そのうちきちんと診断されて治療を受けている方は5%ぐらいと言われています。診断を受けないまま、ただ、加齢によるものと考えて、喫煙を続け、放置してしまわれている方も少なくないと想像されます。
 
喫煙習慣のある方は、もちろん、ない方でも定期的に肺機能検査を行って肺の機能を総合的に調べて見ていただく事をお勧めいたします。
 
次回は、もう少し具体的にシンガポール国内での様子をお話いたします。



◆マニラ

マニラ日本人会診療所
菊地 宏久

◇犬に、がぶっと噛まれました!
 
犬や猫に噛まれたことで狂犬病を心配し、来院する患者さんや電話でのお問い合わせをされる方が毎月数名おられます。ご心配を少しでも少なくするために今回は狂犬病について話します。

WHOによれば狂犬病による死者数は年間5万人前後に達すると言われています。狂犬病は人の病気ですが犬や猫、狐やコウモリなど哺乳類の病気でもあります。それらの動物に噛まれることで唾液と共にウイルスが傷口から侵入していきます。ウイルスは傷口から脳・脊髄へと広がり、末梢神経障害や脳炎、脊髄炎などの中枢神経障害を引き起こします。噛まれた体の部位が脳組織から近いほど潜伏期間は数週間と短く、遠位部では数ヶ月以上になる例もあります。

まず犬の症状について見てみましょう。
発症した犬は怒りっぽくなり、挑発していないのに誰にでも噛みつくようになります。発症すると嚥下をすることができなくなるため唾液も飲めなくなります。唾液をダラダラ垂れ流しています。最終的には痙攣発作や昏睡状態に陥り、その後多くは5日以内に死亡します。犬の場合の潜伏期間は3-8週間です。ウイルスは唾液や神経で増殖し、発症する3-5日前から唾液へのウイルス排出が始まっています。

人の場合、潜伏期間は2週間-数ヶ月くらいと言われていますが1年以上の場合もあります。はじめは風邪に似た症状のほか、噛まれた部位に掻痒感(かゆみ)や炎症などが見られます。その後不安感、恐水症状(水などの液体を嚥下するときでさえも喉が痙攣して激しい痛みを感じるため水を怖がる)、興奮、精神錯乱、光や風に過敏に反応する、などの症状もみられるようになります。それから数日後~1週間後には脳・中枢神経を含む全身の神経障害をおこし呼吸障害に至り死亡します。

発症後の死亡率はほぼ100%で、確立した有効な治療法はありません。しかし暴露前(動物に噛まれる前)ワクチンを接種していれば発症予防効果があると考えられています。

噛まれてしまったらどうすればよいでしょうか?
噛まれてしまったらできるだけ早急に傷口を大量の石鹸水で十分に洗い、消毒薬があればイソジン等で消毒することが大切です。この処置によって狂犬病発症のリスクは大きく減少すると考えられています。そしてすぐに病院を受診しワクチン接種などの処置を開始します。暴露前(噛まれる前)にワクチン接種をしていた人と、ワクチン接種をしていなかった人では暴露後(噛まれた後)のワクチン接種スケジュール等の処置が異なりますので受診時に必ずワクチン接種歴を医師に報告してください。また可能であれば「噛んだ犬や動物」を捕獲または2週間観察し狂犬病を発症するかどうかを見極めることが大切です。咬まれてから2週間以上その動物が狂犬病の症状を示さない場合には、咬まれた時にその動物が狂犬病に感染していた可能性は極めて低いと考えられます。

狂犬病は発病後の治療法が確立されていない病気です。最も大切なことは狂犬病感染の予防です。
リスクのある職業、媒介動物と接することが多い方はワクチン接種が大切です。
犬や猫の飼い主の方はペットに対してのワクチン接種をお願いします。
路上や公園などの犬や動物をむやみにからかったり手を出したりしないようにすることも大切です。



◆ジャカルタ

ジャカルタ・ジャパンクラブ医療相談室
原 稔  

◇湿潤療法
 
12月10日(土)に第14回AJRC(Asian Japanese Rugby Cup)が開催されました。初のジャカルタ開催です。アジア各国から12チーム300名の駐在員ラガーが集結。雨季にもかかわらず、天候にも恵まれ、20代前半から70代までのプレイヤーが同じグラウンドで楕円球を追いました。
ラグビーに限らずスポーツに怪我はつきものです。多くの参加者が心地よい痛みを味わっていることと思います。
なかでも多いのが擦過傷(擦り傷)です。日常生活でもよくあります。今回は擦り傷の対処法を紹介いたします。

① まず、水道水でよく洗います。傷面に砂などの異物があると感染の原因になるので、とにかくよく洗います。(私は念のために、飲料水として売っているペットボトルの水で更にもう一度洗っています。日本の水道水であれば、これは必要ないと思います。)
② 「創傷被覆材」を傷面に貼ります。
③ 被覆材を毎日交換します。この時、傷はこすらないように軽く水洗いします。

基本的にこれだけです。数日で新しい皮膚ができてきます。

以前は、消毒してガーゼで保護(?)していましたが、今は行いません。消毒液で組織が痛むからです。洗ってバイ菌の数を減らすことが重要です。また、ガーゼは傷にこびり付いて、交換の度に傷面が剥がされ痛い思いもします。
使用する「創傷被覆材」は、傷からの滲出液をある程度吸収し、且つ傷面にはこびりつかないようになっています。密閉されるので傷の湿潤環境が保たれ、治癒が促進されます。従来の、消毒+ガーゼに比べて、圧倒的に早く治ります。貼った状態でシャワーも浴びられますし、水仕事も可能です。何よりも剥がす時にほとんど痛みが無いのが嬉しいところです。以上のように良いことずくめなのですが、値段が若干高めです。
同様の素材のものが日本の薬局で購入できます。「キズパワーパッド」(ジョンソンアンドジョンソン)、「カットバンモイスト」(祐徳薬品)などの商品名で売られています。残念ながら、ジャカルタの薬局ではまだ見かけません。

小さな擦り傷でしたら、この方法で自宅でも対応できると思います。また、火傷の場合にも応用できます。
機会がありましたら、お試しください。


(以上)