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ニュースレター(機関紙)

JOMF派遣医師便り(2012.04)
NL12040101
シンガポール、フィリピン、インドネシア、医療事情 / / / / / / / / / / /



◆シンガポール

シンガポール日本人会クリニック
日暮 浩実

◇禁煙場所の拡大

シンガポールは煙草に関して規制が厳しい国として知られ、1971年に世界に先駆けて煙草の宣伝を禁止する法律を作りました。その後、さまざまな規制が作られ、煙草を吸える場所も徐々に狭められてきています。

しかしながら、喫煙率の下げ止まり、若年層の喫煙率の増加、煙草の消費本数の増加が見られるというお話を1月に御報告いたしました。

こうした喫煙習慣の広がりを危惧してでしょうか、このほど更に禁煙場所が拡大されることが決まりました。新たに禁煙場所になるのは、住宅ビルの共用の廊下、階段、ボイドデッキ(団地の床下空間)、階段、覆いのある歩道橋、高架橋、病院敷地の屋外部分です。実際に実施されるのは2013年からとのことです。

以前に御報告いたしましたが、現在既に、室内公共施設、公共交通機関ではもちろん、2006年7月からはコーヒーショップやホーカーセンター(屋外の場合は20%は喫煙エリア可)、2007年7月1日から歓楽施設(いわゆるナイトスポット:パブ、バー、ディスコ、ラウンジなど)での喫煙も禁止されています(別に喫煙所を設けることになっています)。

世界保健機構(WHO)の西太平洋地区は2次的喫煙にさらされる事を避けるためにブルーリボンキャンペーンを実施していますが、シンガポールはこのキャンペーンに国を挙げて参加した最初の国になりました。(3月4日発表)

シンガポール健康推進局(HPB, Health Promotion Board)は率先して禁煙に理解を示し、禁煙場所の拡大に協力した10箇所の市場やホーカーセンターにブルーリボン賞を授与しました。

ブルーリボン賞はある分野で何か価値が高い事をしたと認められるときに送られる象徴的な賞で、様々な分野で使われているものですが、今回は、禁煙の分野に適応されました。

実際のところ、市場やホーカーセンターでは上述の通り、喫煙場所を設けることは許可されているのですが、これら10箇所の市場やホーカーセンターは自発的にこれらの喫煙場所を撤去しました。これらの施設の名称と所在地もHPBのホームページで見ることが出来ます。

煙草のない環境ということが、当たり前になることを目標に、こうした喫煙場所の撤去が自主的に行われていくことが期待されています。

折りしも、3月20日から24日にかけては、HPBの主催で第15回 World Conference on Tobacco or Health (WCTOH)がシンガポールで開かれました。世界から2500人以上の代表者が集まり、煙草のない世界(Tobacco-Free World)をテーマに議論が行われました。詳細は後に発表になることと思います。

少なくともシンガポールでは、喫煙習慣が珍しいことになっていく日が本当に来るかも知れませんね。



◆マニラ

マニラ日本人会診療所
菊地 宏久

◇忘れてはならない「川崎病」Kawasaki Disease 赤ちゃんでも心筋梗塞になります!

今回は「川崎病」Kawasaki diseaseについて話します。Kawasaki diseaseは“小児の発熱”の時に鑑別診断として必ず考えていなくてはならない病気です。全身の血管に炎症を起こす病気で、心臓を養っている動脈(冠動脈)にも炎症を起こします。悪化すれば小児でも心筋梗塞に至ります。

今回の話の最後に、4月28日(土曜)の心肺蘇生講習会「世界に一つだけの命」のお知らせをいたしました。
 

ではKawasaki diseaseの話をします。
マニラでは“発熱のみ”で受診する患者さんがたくさんおられます。患者さんの年齢や性別により鑑別疾患も異なりますが、多くの疾患の可能性を考えながら診察します。発熱パターン、既往症、アレルギーの有無、病期(発症後何日目の受診か?)などの一般的情報の把握はもちろん大切です。加えて海外の熱帯地域に住んでいる患者さん特有の環境も考えねばなりません。受診時の季節(雨季、乾季、大雨や洪水の後など)、マニラでの住居・食環境、各疾患のフィリピンでの流行状況、日本での流行状況なども考慮します。
しかし季節を問わず、年間を通して鑑別疾患として考えなければならない疾患もあります。例えば溶連菌感染症、インフルエンザ、マイコプラズマ感染症、風邪症候群、結核、感染性心膜炎、急性肝炎、腸チフス、デング熱などの感染症などです。ほかに膠原病や悪性腫瘍などもあります。
そして小児の患者さんの場合に年間を通して絶対忘れてはいけない鑑別診断の一つに今回のトピックであるKawasaki diseaseがあります。

2010年、日本国内で報告されただけでもKawasaki diseaseの患者数は1万3千人に上り2005年から6年連続で1万人を超えています。この病気は世界各地で報告されていますが、アジア系の人々に多くみられます。Kawasaki diseaseに罹った子供の2~3%に再発が見られ、兄弟で罹る場合が1~2%あると言われています。
ここフィリピンではKawasaki disease自体への関心度が低いためか、患者数統計はありません。
 
Kawasaki diseaseは主に小児がかかる疾患で“全身の血管に炎症が起こる病気”です。1967年に日本人医師の川崎富作氏が世界で初めて報告したために「Kawasaki disease」と命名されるようになりました。残念ながらいまだ原因不明の病気です。現時点では、ウイルスや細菌などの感染がきっかけになり患者さんの何らかの要因が加わって発症すると考えられています。
 
ところでKawasaki diseaseはどのように診断するのでしょうか。
この疾患は血液検査や画像検査などからだけでは診断ができません。以下のような理学所見や症状から診断します。(わかりやすく単純化して書きます。)

1) 5日以上続く発熱
2) 両側の眼球結膜充血(白目の部分が赤くはれる)
3) 唇や舌が赤く腫れる(イチゴのような舌)
4) 発疹
5) 手足の指がテカテカパンパンに腫れる、BCG接種部の発赤
6) 頸部のリンパ節が腫れる
これら6症状うち5つ以上を満たせば「Kawasaki disease」と診断されます。
 
次にKawasaki diseaseの合併症・後遺症として起こり得る心臓疾患についてみてみましょう。心臓を養っている血管(冠動脈)にまで炎症が進展すると冠動脈の壁が破壊されてもろくなります。もろくなった部分は拡大して瘤(こぶ)になります。この冠動脈瘤に血栓ができたり血管壁が厚くなると血管内腔が狭くなります。最悪の場合には冠動脈が閉塞して心筋梗塞が引き起こされます。このように乳幼児・小児でも心筋梗塞、そして心不全など重篤な心臓病に至ることがあります。
一般外来において、心臓疾患の有無を考えるうえでの初期検査では
   ・聴診上、異常な心臓の雑音が聴こえないか
   ・心電図、胸部レントゲン、心エコー検査で異常はないか
などを診ます。
これらの検査や血液検査などによりさらに精密検査が必要であると考える場合は専門施設で心臓カテーテル検査などの高度な検査を行うこともあります。

Kawasaki diseaseの治療においては冠動脈瘤の発生をいかに防ぐかが最大の課題になっています。これまでは血液製剤のひとつガンマグロブリンの大量療法により冠動脈瘤の発生頻度を20%にまで減少させることができていましたが、より有効な治療法が期待されていました。
 
今年2012年3月のTHE LANCETという医学雑誌に次のような記事が出ていました:
「Kawasaki diseaseの患者にγグロブリンに加えてステロイドを併用することで冠動脈瘤の発生が3%に抑えられた」
これは朗報です。この治療法を用いればKawasaki diseaseによる冠動脈瘤の合併、後遺症が非常に減少することが期待できます。

ところで上記1)~6)の6つの症状は同時に発症するわけではありません。患者さんの体質や病期によって症状の重症度や現れ方も異なります。発病早期にKawasaki disease であると診断することが難しい場合もありますので経過観察を続けることが大切です。
発熱が続く場合、上記1)~6)のような症状のいくつかが認められた場合には、お母さま方からも「川崎病の可能性はないでしょうか?」と御相談してください。
どうぞお大事にしてください。

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心肺蘇生講習会 “世界に一つだけの命” 開催のお知らせ
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第1回マニラ日本人会診療所「心肺蘇生講習会」を行います。
心肺蘇生用の人形を使って実習をしてみましょう。どなたでもご参加ください。動きやすい服装でいらしてください。
  ◆日時:4月28日(土曜)、午後13時30分~15時30分
  ◆場所:日本人会診療所待合室にて

内容:家族が、お子さんが、周囲の人が突然心肺停止を起こしたとき、あなたにできることがあります!



◆ジャカルタ

ジャカルタ・ジャパンクラブ医療相談室
原 稔  

◇「ジャカルタでタミフルは入手できますか?」


「ジャカルタでタミフルは入手できますか?」という質問をよく受けます。インドネシアではタミフルは政府の管理下に置かれており、基本的に一般の医療機関では処方できません。政府の指定病院(ジャカルタであればプルサハバタン病院など)で必要と判断された場合は正規に処方してもらえますが、日本人がその病院を直接受診するのは現実的ではありません。日本で大学病院を受診するようなものです。各企業・個人で独自に持ち込んで備蓄しているのが実情です。
 
インフルエンザと診断した患者さんには、必要に応じて、ご自身で準備されたタミフルの服用をお勧めしています。このときに大切なのは、決められた用量を決められた期間服用することです。大人ですと、1カプセルを1日2回、5日間確実に服用する必要があります。中途半端に使用すると、インフルエンザウィルスがタミフルに対する耐性を獲得する原因となります。
また、インフルエンザの症状(発熱、倦怠感、筋肉痛、関節痛など)が出始めて48時間以内に服用を始めないと意味がありません。タミフルは、服用したからと言って即座に症状が治まると言った薬ではありません。服用しない場合に比べて、回復までの期間が約1日短縮されるという薬です。
これらのことを認識したうえで使用する分には、タミフルは有効な薬です。高齢者や、持病で抵抗力の落ちている方には、とくに有用です。
 
上記は季節性インフルエンザに関してですが、万一の備えとして、新型インフルエンザのパンデミックが起きた際も、タミフルが使える可能性があります。
 
インドネシアで正規に入手することは困難ですが、タミフルを準備しておくことは安心感につながります。必要時に正しく使用していただけるようお願いいたします。

 
(以上)