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「海外赴任者のための感染症対策」

海外でかかりやすい感染症

島田  馨
東京専売病院 副院長(1995年現在)
(元 東京大学医科学研究所付属病院 院長)

 海外、特に開発途上国で生活していて多いのは下痢です。また高温多湿熱帯地方ではマラリアなど昆虫による病気にも気をつけなければなりません。これまで下痢や寄生虫の病気を「海外医療」の保健医療アドバイスコーナーに連載してきましたが、その一部を抜粋し、予防対策にも触れたいと思います。


■特にかかりやすい病気

1.下痢(感染性腸炎)

●病原大腸菌による下痢
 熱帯地方の下痢で一番多いのは毒素産生性の病原大腸菌によるもので、開発途上国では小児の下痢の原因菌として1位か2位をしめていますし、成人の下痢の原因菌としても極めて重要なことが分かってきました。

毒素産生性大腸菌の下痢はコレラによく似ています。頻回の下痢便も重い場合はコレラ同様“米のとぎ汁様”ですが、通常は水様便か軟便ですし、熱をだすことがほとんど無いのもコレラに似ています。
かなりの患者に腹痛が見られます。下痢の回数は一日3~5回程度が多いのですが、10~15回に及ぶものもあり、下痢のためベッドとトイレ以外に出られない人が5人に一人くらいあります。数日で治りますが、ときには10日以上かかることもあります。治療はコレラと同じで、輸液と電解質の補充です。

●コレラ
 コレラは今まで何回か世界的大流行を繰り返してきましたが、流行が終わるとインドのインダス、ガンジス流域以外からはコレラは無くなっていました。しかし今までのアジアコレラに変わって流行しはじめた新しいコレラ(エルトール型)は、すでに30年以上も世界各地で散発的な流行が続いています。つまりコレラ菌はインド以外の場所にも定着し始めたようで、東南アジアはもちろん、アフリカ、北米、さらには今までコレラの流行が一度もなかった南米にも流行が及んでいます。今度のコレラは過去6回に比べて概して軽症で、発症率も低いとされています。しかし重症なものもあり油断は禁物です。
コレラ菌は熱に弱いので飲料水は煮沸で、肉や魚は調理の時に熱を通せば菌は死滅します。またコレラ菌は酸に弱いので酢漬けのものは一応安全ですが、酢に漬けておく時間が短ければ一部の菌が生き残っている危険があります。胃のなかの胃酸でもコレラ菌は殺されます。熱帯地方の料理に香辛料を多く使うのも、胃酸の分泌にはプラスに働くので合理的といえます。

 コレラの潜伏期は数時間から5日、大部分の人は2~3日です。発病すると激しい下痢や。嘔吐を起こし、数時間で強い脱水状態に陥ります。重症な場合、下痢は一日で10Lから20L以上にもなります。皮膚はカサカサになり、口渇がつよく、声がかすれ、眼はくぼみ頬はこけて、コレラに特有の顔つきになります。
また電解質異常がきて下肢の筋肉が痙攣を起こします。治療としては脱水の補正が第一です。病院で点滴を受けても良いのですが、軽症から中等症の場合は経口的に水分と電解質を補給もできます。経口輸液の成分は水1L当り食塩3.5g、重曹2.5g、塩化カリ(KCI)1.5g、砂糖40gで、これを体重lkg当たり50~100ccを4時間以内に飲ませます。  治療をしなければ死亡率は50%を越えますが、治療が早ければ死亡率は1%以下にできます。しかし5才以下の子供と60才以上の老人ではもう少し危険率が高くなります。

●細菌性赤痢
 一般的には開発途上国に多いのは当然で、スーダン、インド、アルゼンチン、メキシコ、イラン、サウジアラビア、中国、バングラデシュ、中米諸国などでは年間10万から数十万の赤痢患者が出ているものと推定されます。
 赤痢は潜伏期が1~4日と言われています。赤痢菌は大腸で増殖して腸の粘膜に潰瘍を起こします。赤痢の主な症状は発熱、腹痛、下痢で、重い場合は下痢便に膿や血液、粘液が混じる膿粘血便となります。
また“しぶり腹”となります。しぶり腹とは腹痛と便意をもよおしてトイレに行ってもごく少量の下痢便が出る程度で、またすぐに腹痛と便意をもよおす状態をいいます。軽い場合は水様下痢か軟便程度で終わってしまいます。赤痢は抗生物質で治療します。

●アメーバ赤痢
 同じような腹痛、しぶり腹、粘血便の下痢はアメーバの感染でも起こり、アメーバ赤痢と呼ばれています。アメーバは池や水溜まりの中に必ずと言っていいほど見つかります。ですからアメーバ赤痢は生水が感染源となります。人に病気を起こさないアメーバも沢山ありますが、赤痢を起こすアメーバは赤痢アメーバと呼ばれています。全世界では約5億人の人が赤痢アメーバに感染していますが、感染者の90%は無症状で便に赤痢アメーバを排泄している保菌者で、10%が発病し、年間に5~10万人が死亡していると推定されています。日本では昭和20年代は国民のほぼ7%が感染していたといわれていますが、生活様式や衛生環境の改善で激減し、普通の人の便から赤痢アメーバが見つかることはまずありません。治療は普通の抗生物質では駄目で、フラジルと言う薬が特効薬です。このブラジルは膣トリコモナス症にも有効で、どの国でも使われています。赤痢アメーバは赤痢だけでなく、肝臓に大さな膿瘍を作ることがあり(アメーバ性肝膿瘍)、この場合は高熱が続きます。

●腸チフス
 腸チフスの特徴は発熱で、下痢は半数程度です。
逆に下痢が無くても腸チフスであることが珍しくありません。特にアフリカ北部、中米、南米の熱帯地区、東南アジア、西南アジアは流行地区と言っても良いでしょう。潜伏期は10日から2週間で、寒気と発熱で発症します。この時期はチフス菌が腸管から血液に入って、血液とともに全身を廻っている状態です。頭痛や食欲不振があり半数くらいの人が下痢(えんどう豆のスープ様の下痢)をします。この時期は熱があっても無理すれば自分で病院に行けるくらいです。熱は次第に高くなり、1週間もすると39~40℃の熱が続くようになります。治療をしなければ高熱が更に2週間くらい続き、腸出血を起こして危険な状態に陥る人もありますが、発病4週くらいで熱が下がります。治療は抗生物質で、クロラムフェニコール(chloramphenicol)が特効薬です。最近はクロラムフェニコール耐性の腸チフス菌もありますが、これにはST合剤(バクトラミン)やニューキノロンとよばれる抗菌薬が有効で、治療の時期が遅れなければ死亡することはありません。

●ランブル鞭毛虫症(ジアルジア)
 全世界、特に熱帯地方に分布していて、生水が感染源です。下痢は一過性で自然に治癒しますが、なかには頑固な下痢が続いたり、胆嚢炎を起こしたりする人もあります。検便で診断でき、トリコモナスに効く薬のフラジルで治療します。

■水や食物の注意
 開発途上国の水道の蛇口からの水は危険と考えて間違いありませんし、特に雨の後の水は危険です。また歯磨きの際に口をすすぐ水やシャワーの水からも病原菌が感染する場合もあります。また下水の流れこんでいる川で泳ぐのも危険です。凍らせると細菌の数は減少しますが零にはならず、長期間氷のなかで生存しつづけます。ウイスキーの水割りは勿論、オンザロックでも氷の細菌は死にません。熱いコーヒー、紅茶は安全ですが、アイスティー、アイスコーヒーは危険ですし、市販のミネラルウォーターも水の由来によっては必ずしも安全とは言えません。特にガス無(炭酸無)のミネラルウォーターの中から細菌や原虫が見つかる場合があります。これに対しガス入り(炭酸入り)の水のほうが安全です。炭酸で水が酸性になるため細菌が死滅し、20℃、4日間で大腸菌や腸チフス菌は1万分の1まで菌数が減ります。ですから市販の炭酸入りの飲料は缶入りでもビン詰めでも安全です。ミルクも殺菌していないものは危険で、コーヒーや紅茶に入れるのも危険ですが、殺菌されているものは安全です。

 水の滅菌は煮沸で、短時間でも沸騰させれば病原菌は死滅します。ホテルの蛇口から出るお湯はほとんどが65℃以下なので、100%安全であるとは言えませんが、水よりは細菌数が少ないので、歯磨きの際の口の濯ぎにはお湯を使うほうが良いでしょう。

 それ以外の消毒法としては塩素消毒とヨード消毒があります。市販の5%塩素ブリーチ(漂白剤)2滴(0.1ml)、あるいは2%のヨードチンキ4滴(0.2ml)を1リットルの水に加え30分室温に放置すると、主な菌は殺されます。低温では塩素やヨードの消毒効果が落ちますので注意が必要ですが、このような薬品消毒は主に旅行中に役に立ち、居住地では煮沸滅菌が一番です。

 食物は街角のスタンドで売っているものに不潔なものが多く、メキシコ滞在中の学生の調査では、カフェテリアやレストランで食事をする機会の多い人ほど下痢にかかる回数も多いとの報告もあります。
カフェテリアのhot pepper sauceは大腸菌などに汚染されているのが多いようです。


2.蚊媒介の感染症

●マラリア
 マラリアはマラリア原虫による感染症で、一定周期で繰り返される発熱と貧血、脾腫が特徴です。世界的にみると年間100万人以上がマラリアで死亡し、毎年1億2000万人が感染しています。
 マラリアには熱帯熱、三日熱、四日熱、卵型マラリアの4種類があり、発生頻度もこの順序ですが、熱帯熱と三日熱の2種類が広く蔓延しています。マラリアの熱発作は寒気や激しい震えで始まり、熱は40℃にも達します。発熱は数時間でその後大量の発汗とともに解熱します。典型的には四日熱は72時間毎に、それ以外のマラリアは48時間毎に熱発作が起こりますが、旅行者を含めて免疫のない人は連日発熱します。熱発作を繰り返すうちに下痢、貧血が進み、意識障害や腎不全など重い状態になります。

 熱帯熱の症状が一番激しく、非流行地の人が熱帯熱にかかって治療を受けないままにしていると脳性マラリアや腎不全で1/4は死亡します。熱帯熱マラリアはサハラ以南のアフリカ、エチオピア周辺、アラビア半島など中近東、パキスタン、インド、ミャンマー、インドシナ半島、インドネシア、オセアニア、中南米、特にアマゾン地帯に分布しています。
三日熱の分布もこれとほぼ同じですが、サハラ以南のアフリカやカリブ諸島には見られません。
 マラリアの診断は臨床症状の外に血液検査でマラリア原虫を証明すれば確定します。マラリアにはクロロキンが特効薬でしたが、ここ2~30年来クロロキン耐性の熱帯熱マラリアが各地に拡がっています。クロロキン耐性の見られないのは中米、ハイチ、ドミニカと中近東、エジプトくらいです。三日熱マラリアには依然としてクロロキンを使います。クロロキン耐性熱帯熱マラリアにはメフロキン(Lariam)を内服させます。

●デング熱
 デング熱の流行地はインド、セイロン、ミャンマー、タイ、マレーシア、インドシナ半島、フィリピン、インドネシアなどの南アジア、カリブ海諸国、中米と南米の熱帯地域、それに西アフリカの一部です。デング熱は蚊が媒介しますので、蚊がふえる雨季にデング熱が流行します。デング熱は一度に多数の感染者が発生し、一回の流行で住民の50~90%が感染することもあります。

 デング熱は古典的デングとデング出血熱の2種類があります。古典的デングは潜伏期が3~15日(通常5~7日)で、突然39~40℃に発熱し、頭痛、目の裏の痛み、食欲不振、悪心、嘔吐、腰痛などがみられます。筋肉痛や関節痛も強く、breakbone feverの別名があるくらいです。熱は3~7日続いて一旦は解熱しますが(1~2日間)、もう一回発熱して(2峰性発熱)全身に発疹があらわれ、今度は本格的に解熱、回復します。
 古典的デングの死亡率は1%程度です。最近古典的デングの症状に加えてショックや出血傾向をともない、10%近くが死亡するデング出血熱があらわれました。デング出血熱に罹るのは主に小児で、治療法の進歩とともに死亡率も低下しています。


■昆虫に刺されぬ注意
 世界保健機構(WHO)はDDTでハマダラカを駆除してマラリアを根絶させようとしましたが、ハマダラカが殺虫剤耐性となったため失敗に終わりました。ハマダラカは昼の間は刺しません。夜間蚊に刺されないように注意し、長袖のシャツやズボンを着用して網戸などで遮蔽された部屋にいることが第一です。また防虫加工した蚊帳も有効です。防虫加工には蚊帳を防虫剤(30~35%N,N,diethyl-me-toluamide含有、DEET 市販している)の液のなかに漬けて干せば良いのですが、濃度を蚊帳の面積1㎡あたり300~500mgの薬液が付くように調整します。防虫加工は六カ月毎に繰り返す必要があります。

 夜出かける時などには、DEET含有の防虫剤を直接皮膚に使用することも出来ます。ただ皮膚から一部吸収されるので小児には使わないほうが良いでしょう。帰宅したら洗い落とすことが大切です。Avonの化粧品のSkin-So-Softにも防虫作用があります。これは安全ですが防虫作用が弱く、しょっちゅう繰り返し塗らなければなりません。


3.エイズ及びその他の性病

●エイズ
 日本人が特に感染しやすい訳ではありませんが、エイズの流行は全世界的な問題です。サハラ以南のアフリカ、タイ、インドなどの東南、西南アジアでは爆発的に増加していますし、先進国もエイズ患者の増加に頭を痛めているのはご存じのとおりです。
日本はエイズ患者の増加が少なく、エイズ対策がうまく行っている国のひとつでしょう。

 エイズはエイズウイルス(HIV)の感染症です。
感染経路は性交渉、血液(輸血、麻薬・覚醒剤の回しうち)、母子感染の三つで、それ以外の日常生活で感染することはありません。

 エイズは1981年にアメリカで初めて見つかった病気ですが、それ以前からアフリカにあったことはほぼ確実のようです。アメリカやヨーロッパではまず同性愛の男子の間に拡がりましたが、今では全世界的に異性間接触による感染が主流となってきています。なお東南アジア、アメリカ、南欧などでは麻薬・覚醒剤の回しうちによる感染が少なくありません。正確な感染率は分かっていませんが、一回の輸血で70~80%、母子感染は50%、麻薬・覚醒剤の回し、うちは1~3%、性交渉1%かそれ以下と推定している人もいます。幾つかある感染経路の中で輸血については、日本をはじめ欧米先進国の輸血制度は完備され、すべての輸血は抗体検査でチェック済みですから危険はありません。しかし開発途上国は輸血の検査体制が整っていないところが多く、安全とは言えないようです。エイズは最初のうちは無症状ですが(無症候性キャリア)、細胞性免疫が高度にやられると、それまで細胞性免疫によって抑えられていた感染症や悪性腫瘍が発生してきます(エイズ発症)。

 症状 感染してもほとんどが無症状です。感染後まもなくの間は沢山のエイズウイルスが血液の中を廻っています。6~9週間前後になると免疫応答が始まりますので、血中のエイズウイルスの数は急に減少します。その時期に発熱、関節痛、筋肉痛、発疹などの症状がある人もありますが(急性期症状)、一時的でまもなく治ってしまいます。この急性期症状は無い人のほうが多いようです。

 感染後、急性期症状をのぞけぱ数年から十数年にわたる長い無症状の時期が続きます(無症候性キャリア)。エイズ発症が近くなると帯状ヘルペスが生じたり、全身のリンパ節が柔らかく大きく腫れたりします。さらにカンジダによる口内炎で口蓋、頬粘膜、咽頭に0.5cm大の白斑ができ、飲食の際に痛みがあります。

 細胞性免疫が低下すると、それまで抑えられていた感染症や腫瘍が発生してエイズを発症しますが、半数以上の人はまずカリニ肺炎になります。カリニ肺炎は階段を登るときの息切れが初発症状で、2~3週間後には平地を歩くときの息切れと発熱を見るようになります。カリニ肺炎は早期に診断してST合剤(内服、注射)かペンタミヂンで治療すれば3~4週間で治癒します。エイズを発症してからかかりやすい感染症には結核、非定型抗酸菌症、反復する肺炎など発熱を主症状とするもの、クリプトコッカス髄膜炎やトキソプラズマ脳炎のように発熱と意識障害のあるもの、原虫(クリプトスボリヂウム、イソスポラ)による激しい下痢、サイトメガロウイルス網膜炎などがあげられます。これらの感染症の多くは早期に診断すれば一時的にせよ治癒、あるいは軽快させることが出来ますが、免疫が弱っていますのですぐに再発したり、同時に2~3種類の感染にかかったりします。カポジ肉腫は皮膚から盛り上がった赤褐紫色の腫瘍で、ほとんどが同性愛のエイズ患者です。カポジ肉腫は皮膚だけでなく、内臓も侵します。
あと脳にリンパ腫が発生することも珍しくありません。エイズウイルスは中枢神経系にも感染して末期にエイズ脳症(エイズ痴呆)となります。エイズ脳症は外界に対する注意力の欠如や無関心が最初に現われ、まもなく寝たきりとなります。

 母子感染の小児は生後3~23カ月の早期にエイズを発症します。
診断 感染して6週~9週前後で血液中に抗体が現われてきますので、この時期以降に抗体検査で診断します。
経過 感染から短くて数年、長ければ十数年以上にわたる無症候性キャリアの時期があります。最近になって十数年間全く病状が進行しない感染者が1割近くいることが分かりました(長期間非進行者)。
エイズを発症してもきちんと治療すれば、数年間は社会生活や家庭生活を送ることが出来ます。
治療 エイズそのものにはアジドチミヂンやddIの抗ウイルス薬を使います。日和見感染症にはその種類に応じて治療薬があります。
 エイズは性感染症として位置付けられています。
海外には日本でもポピュラーな性感染症(梅毒、淋病)のほかに、日本でほとんどみられないものもあります。

●梅毒
 症状病期によって一期から四期までに分類します。
一期梅毒
 感染から3カ月迄を言います。潜伏期間は2~3週間、短いもので1週間、長くて7週間の例もあります。
男性では亀頭、冠状溝、包皮内面などに、女性では膣、子宮口に初期硬結とか硬性下疳と呼ばれる0.5~lcm大の硬いしこりが現われ、数日で表面に小さな潰瘍が出来ます。この潰瘍面に沢山のトレポネマがいます。しこりに痛みはありませんが、いじると軽い痛みを感じることがあります。初期硬結は一個のことも複数のこともあります。間もなく鼠径リンパ節が一側あるいは両側に腫れ(よこね)、大きいものは鶏卵大にもなりますが痛みはありません(無痛症よこね)。次いで全身のリンパ節が腫れてきます。
初期硬結は3~8週間で自然に消失します。初期硬結が出来る部位は性器と限ってはいません。オーラルセックスで唇、舌、口腔粘膜に初期硬結を作ることがあります。
 感染後4~6週で梅毒血清反応が陽性になり、血液検査で梅毒の診断が出来るようになります。
二期梅毒
 感染後3カ月から3年迄の期間です。
 トレポネマは血液やリンパによって全身を廻り、一部は皮膚につきます。その部位にはバラ疹と呼ばれる淡紅色の斑点が現われますが、全身性に、手掌や足底にも多数現われるのが普通です。大体において初期硬結が出来てから6~8週の時期で、初期硬結が未だ残っていることもあります。本人がバラ疹に気付かないことも多いようです。

 次に丘疹性梅毒疹ができますが、赤褐色で皮膚からやや盛り上がった0.5~2cm大の発疹で、これも手掌足底を含めてほぼ全身性に生じます。手掌足底のものを梅毒性乾癬とも呼びます。丘疹性梅毒疹の表面は鱗粉状になったり、時間が経つと中心部が壊死状になったりします。この梅毒疹は皮膚だけでなく粘膜面にも出ます。丘疹性梅毒疹が肛門周囲や陰唇のように暖かく湿潤した、しかも摩擦の多い部分に生じますと、扁平に盛り上がり表面がビロード状になります。これが扁平コンジローマで、ここには無数のトレポネマがいて感染源となります。このほか梅毒性の脱毛もおき、これには頭髪全体が疎らに抜ける型と、側頭から頭頂部にかけて小脱毛斑が出来るタイプとがあります。

 二期梅毒では全身のリンパ節腫脹、微熱あるいは疲れやすいといった症状も見られます。二期梅毒では皮疹や血液に沢山のトレポネマがいて、梅毒血清反応も強陽性に出ます。しかし二期の時期でも、発疹もなく無症候に経過する潜伏梅毒患者が多数います。
三期梅毒
 皮膚や内臓にゴム腫ができます。皮膚のゴム腫はゆっくりと発育しながら深部組織まで侵し、破れて潰場を作ります。
四期梅毒
 この時期になると皮膚に病変は作らず、神経梅毒(知覚障害、歩行障害)、脳梅毒(痴呆)、心臓血管梅毒(胸部大動脈癌)などが発症します。梅毒の病原体のトレポネマ・パニヅムには抗生物質がよく効きますので、風邪やおできにもよく抗生物質を使う今日、知らず知らずのうちに梅毒が治療されていることもあってか、今日三期梅毒、四期梅毒まで進む患者はいなくなりました。
梅毒は早期に十分な治療を受ければ完全に治りますので、怪しいときはきちんと検査を受けることが第一です。
 診断は梅毒血清反応が決め手です。
 梅毒は性交、キスなどの性的接触で感染し、それ以外の日常生活で感染することはまずありません。
食器、衣服、入浴、公衆トイレなどからの感染は考えなくて良いと思います。

●淋病
 淋菌による性病で、患者あるいは保菌者との性交によって感染します。
 一回の性交による感染率は女性から男性には20%の、男性から女性には80%程度とされています。
症状 男性は感染後2、3日から一週間で尿道口から黄色、あるいは黄白色の膿が出て、排尿時に灼熱痛があります。また尿道の痒みや尿道口は発赤腫脹、それに鼠径リンパ節の腫れも伴います。女性では淋菌は子宮頚管に感染しますので症状は軽く、おりものの増加と軽い排尿痛があるか、あるいはほとんど自覚症状のない人もあります。
 オーラルセックスによる淋菌の咽頭炎も珍しくなくなりました。この場合咽頭に淋菌がいるだけのことが多く、咽頭痛はほとんどありません。

 治療せずに放置しておくと男性の場合は尿道狭窄を起こしたり不妊になることがあり、女性では子宮内膜炎、卵管炎を起こして子宮外妊娠の原因となることがあります。
診断 男性では尿の顕微鏡検査で、女性の場合は子宮頚管に綿棒を挿入して採った頚管粘液の顕微鏡検査で診断します。
治療 セフェム系抗生物質やニューキノロン薬の内服療法を1週間くらい続けます。クラミジア感染症のところにもありますように、淋菌と淋菌以外の病原体の感染も合併していることが多いので、専門医で治療を受けることが肝心です。
 淋病は症状の軽い例や無症候の保菌者もいますので、セクシャルパートナーと一緒に治療することが大切です。

●軟性下疳
 へモフィルス ジュクレイという細菌で起きる性病で、第三性病とも云われています。抗生物質がよく効いて短期間に菌が無くなるため、日本では患者が減って今日ではほとんど見ることがありません。
しかし熱帯地方ではいまだに多発しており、アフリカで最も多い性病は軟性下疳です。軟性下疳は外陰部に潰瘍をつくるので、エイズに感染している女性が軟性下疳の潰瘍を持っていると、性交渉で相手にエイズを感染させる危険が大きくなります。

 潜伏期は4~7日程度で、男性では陰茎の包皮内外面、女性では膣口周囲や陰唇に有痛性の紅い丘疹ができます。丘疹は短時間で潰瘍となります。潰瘍は不正形扁平で膿性の分泌物がみられ、軟らかく硬結はありませんが痛みがあります。ただし女性は痛みを自覚しないこともあります。潰瘍は無治療でも数週間で瘢痕化しますがしばしば再発します。半数の例では潰瘍ができてから1~2週で鼠径部のリンパ節が腫れ(よこね)、痛みを伴います(有痛性よこね)。
リンパ節は大きな塊となり、化膿して破れ、排膿します。
 診断は臨床症状でつきますが、潰瘍や膿の細菌検査を行なえば一層確実です。治療は抗生物質のエリスロマイシンやST合剤(バクター)という薬を10日内服します。

●鼠径リンパ肉芽腫(性病性リンパ肉芽腫)
 第4性病とも呼ばれます。クラミヂア トラコマチスが病原体で、感染1~3週間すると外陰部に小発疹が発生します。これは短期間で治ってしまうため気付かないことがあります。引き続いて鼠径部や大腿部のリンパ節が腫れて化膿し、ハチの巣のような小さな穴があいて、数週から数か月排膿が続きます。
女性で会陰部に病変が生じると腫れて直腸狭窄を生じます。抗生物質のテトラサイクリンで治療します。

●鼠径肉芽腫
 細菌による性病です。日本や欧米先進国では今日ほとんど見られませんが、東南アジア、インド、アフリカ、中南米にはまだ流行が残っていて、特にパプアニューギニアでは性病科を受診する男子の4人に一人は鼠径肉芽腫と云われています。鼠径肉芽腫の伝染力はそれほど強いものではなく、夫婦間でも10~50%の感染率とされています。
症状 潜伏期は8~80日、陰茎、陰嚢、大腿部や陰唇、膣、会陰部の皮膚や粘膜に丘疹ができてただれ、肉芽腫となります。ただれがゆっくりと拡がって会陰部全体が潰瘍になったり、ひどいのは陰茎が崩れたりします。ローソク病と呼ばれるのはこの状態です。臨床症状や病変部の組織検査で診断します。
 抗生物質のクロラムフェニコールやストレプトマイシン、テトラサイクリンなどで治療します。


4.ウイルス肝炎

 ウイルス肝炎の原因ウイルスは何種類かありますが、A型ウイルス、B型ウイルス、C型ウイルスが主なものです。どの型のウイルス肝炎でも急性期は発熱、倦怠感、食欲不振、黄疸など共通していて、急性期が治まるのに2~3ヵ月かかります。

●A型肝炎
 開発途上国に多い病気です。水などの経口感染です。慢性肝炎に移行することはありません。

●B型肝炎
 輸血、母子感染と性交渉で感染します。成人になって感染した場合、慢性化することはほとんどありません。

●C型肝炎
 輸血や針を変えない注射器の回しうちが感染の原因とされています。慢性化しやすい傾向があります。


5.その他の感染症

●熱帯性好酸球性肺炎
 マレーシアなどの東南アジアやインドに多い疾患で、喘息のような咳が特徴です。胸のレントゲン写真にも粟粒陰影が見られます。たぶんアレルギーによるもので、原因は寄生虫(バンクロフト糸状虫、マレー糸状虫など)と考えられています。糸状虫の駆虫薬のスパトニンで症状は速やかに軽快します。

●条虫(さなだ虫)症
 外国、特に食品衛生管理が行き届いていない開発途上国で生煮えの肉を食べて感染した人がほとんどです。症状はほぼ同じで肛門から紐のような虫体が出て気が付くことがほとんどです。駆虫は入院が必要です。駆虫薬はパロモマイシン、ピチオノール、プラジカンテルなどがあり、一日か二日の入院で駆虫できます。ただ有鉤条虫だけは虫卵が人の腸で孵化して幼虫になることがあり、幼虫が脳に移行して脳腫瘍のような症状を示す場合があります。こうなると薬では効かず、外科的に取り出す以外方法はありません。

●日本住血吸虫
 中間宿主の宮入貝が沢山いる川で経皮感染します。楊子江流域から広東省、フィリピン、セレベスに流行地があります。日本住血吸虫は肝臓で産卵するので、虫卵が蓄積されると最後に肝硬変となります。

●マンソン住血吸虫
 症状は日本住血吸虫と同じです。

●ビルハルツ住血吸虫
 アフリカ、マダガスカル、中近東に存在します。
川や沼にいて、水浴びの時などに皮膚から侵入します。ビルハルツ住血吸虫は膀胱壁に産卵しますので、血尿が主な症状です。検尿で診断し、プラジカンテルで駆虫します。

●賢症候性出血熱
 ハンタンウイルスによる感染症で、腎障害と出血傾向が主な症状です。日中事変の頃、中国東北部の関東軍に流行して孫呉熱と呼ばれたものや、朝鮮戦争で米軍に流行して韓国型出血熱と呼ばれたものと同じものです。原因となるウイルスはネズミを宿主としていますので、日本では実験動物のネズミが汚染されて、研究者の間に拡がったことがあります。
 潜伏期は2~3週間で、悪寒、発熱、頭痛、腰痛、結膜充血、皮膚の出血傾向、消化管出血、タンパク尿、血尿、尿量減少などがあり、重い場合は腎不全になります。日本では重症例は少ないのですが、外国では10%くらい死亡します。血液検査でハンタンウイルスの抗体価の上昇を証明して診断します。特に有効な治療はありません。

●リーシュマニア
 内臓型:カラ・アザールとも呼ばれ、頭痛、発熱、貧血、肝臓腫大、脾臓腫大などが主な症状です。慢性に経過します。インド型、アフリカ型は若年者に、地中海型は3歳以下の幼児に、南米型、中国型は大人でも罹ります。
 皮膚型:村落、山岳地帯、森林地帯でみられます。
皮膚にさまざまな度合いの硬結、結節、腫瘤ができ、潰瘍を作ることもあります。半年から一年くらいで自然に治癒する例もみられます。
 内臓型も皮膚型にも治療薬があります。

●トリパノゾーマ
 睡眠病:潜伏期は10~20日、リンパ節腫脹を伴う高熱がしばらく続きます。頭痛や顔面浮腫や黄疸もみられることがあります。そのうちに中枢神経系が侵され、多彩な神経症状と無関心、あるいは昼間に昏蒙状態となって(睡眠病)、夜に不眠となります。中枢神経が侵される前に治療を始めるのが大切です。

●シャガス病
 媒介するサシガメは南京虫と近縁の2~3cm大の吸血昆虫で、夜間睡眠中に刺しにきて、吸血の際に脱糞します。半液体状の糞の中にトリパノゾーマがいて、皮膚、刺し傷、粘膜などから侵入します。急性型は高熱と片側の眼瞼周囲の浮腫がみられ、間もなく精神鈍麻や昏睡、心不全があらわれ死亡することがあります。慢性型は10年以上にわたってトリパノゾーマが心筋内で増殖して心肥大を起こし、心不全で死亡します。シャガス病に有効な治療薬はありません。

●オンコセル力
 フィラリアの一種で、河川盲目症とも呼ばれています。ブユに刺されて感染します。ミクロフィラリアは皮下で虫塊を作りますので、こぶ状の腫瘤ができます。ミクロフィラリアが眼につくと失明します。

●ペスト
 腺ペストではリンパ節が腫れて出血壊死を起こし、敗血症になります。肺ペストは出血性の肺炎で大量の血痰、呼吸不全、ショックを起こします。肺ペストの血痰は飛沫感染の原因となります。


1.気をつけなければならない感染症と感染経路リスト

病 気感 染 経 路
感染性腸炎
(赤痢などの下痢、腸チフスなど)
食物や水
コレラ食物や水
肝炎A型;食物や水、B型;性交渉
日本脳炎蚊(コガタアカイエカ)
デング熱蚊(熱帯シマカ、ヒトスジシマカ)
マラリア蚊(ハマダラカ)
トリパノゾーマアフリカの睡眠病;(吸血性サシバエのツェツェバエ)
アメリカのシャガス病;(吸血昆虫サシガメの糞中に排泄されたトリパノゾーマが皮層から侵入)
フィラリアバンクロフト糸状虫;蚊(イエカ類)、マレー糸状虫;蚊(ヌマ力、ヤカブカ)
オンコセルカブユ(black fly)
リーシュマニアサシチョウバ工(sand fly)
住血吸虫川、沼での経皮感染
狂犬病狂犬に噛まれる。狐、こうもり、りす、マングースなども感染源となることがある
ペスト蚤、肺ペストの患者からは飛沫感染
ポリオ飲食物や手指
サルポックス野性の猿との接触で感染、ヒトからヒトへの感染は低い
ブルセラ病獣と直接接触。病獣の肉、ミルクなどの飲食
発疹チフスしらみ、だに
黄熱蚊(熱帯シマカ)
ウイルス性出血熱クリミア・コンゴ出血熱;だに
南米の出血熱;ゲツ歯類の排泄物との接触


2.地域別感染症リスト

Ⅰ アジア

病 気流 行 地
感染性腸炎
(赤痢などの下痢、腸チフスなど)
アジア全域
コレラ東南アジア、西アジア全域
肝炎A型肝炎;アジア全域(熱帯アフリカと並んで最大の流行地)
日本脳炎アジア全域、特に中国、タイ、インド
デング熱東南アジア全域、インド亜大陸
マラリアシンガポール、ブルネイ以外の東南アジア、中国(海南島、雲南省)、インド亜大陸など西南アジア全域、特に薬剤耐性熱帯熱マラリアは東南アジア、海南島に多い
中近東ではイエメン、イラク、オマーン、サウディアラビア、アラブ首長国連邦、シリア、トルコで発生
フィラリアバンクロフト糸状虫;パプアニューギニア、フィリピン、中国南部、ヴェトナム、タイ、インド亜大陸、インドネシア
マレー糸状虫;インド西南部、スリランカ、マレーシア、タイ南部、フイリピン、インドネシア、済州島、中国南部
ペストヴェトナム、ミャンマ-、インド、中国
リーシュマニア内臓型;イエメン、中近東からインド、アゼルバイジャン、アフガニスタン、中国
皮膚型;中近東からインド(ラジャスタン州)、アゼルバイジャン、中央アジア、パキスタン
オンコセルカイエメン
住血吸虫日本住血吸虫;フィリピン、インドネシア、陽子江流域
ビルハルツ住血吸虫;イラク、サウディアラビア、シリア、イエメン
狂犬病アジア全域
ウイルス性出血熱クリミア.コンゴ出血熱;中近東、中央アジア、インド、パキスタン、イラン


Ⅱ オセアニア
病 気流 行 地
感染性腸炎
(赤痢などの下痢、腸チフスなど)
ポリネシア全域
コレラ多くはないが存在はする
A型肝炎ポリネシア全域
デング熱ポリネシア全域に風土病的に存在
マラリアソロモン群島、パプアニューーギニアには三日熱の他に耐性熱帯熱マラリアが多い
ソロモン群島、パプアニューギニア、バヌアツに卵型マラリアもあるが、これは薬剤耐性ではない
フィジーやその北方諸島、仏領ポリネシア、イースター島にはマラリアは無い
フィラリアポリネシアに広く分布
発疹チフスパプアニューギニア


Ⅲ アフリカ
病 気流 行 地
感染性陽炎
(赤痢なとの下痢、腸チフスなど)
アフリカ全域
コレラアフリカ全域、特にサハラ以南
肝炎A型肝炎;アフリカ全域(アジアと並んで最大の流行地)
黄熱赤道を中心に南北緯15°の範囲のジャングル地帯
デング熱ナイジェリアを中心とする西アフリカ、ガーナ、カメルーン、ガボンなど
マラリアアフリカ全域、特にサハラ以南、(熱帯熱マラリアが存在しない地域は高度3000m以上の地帯、モーリシャス、セイシェル)、南ア連邦、ボツワナなど南部アフリカには少ない
フィラリア北アフリカはナイルデルタに集中、中央アフリカ
オンコセル力熱帯アフリカの河川流域(ケニアの大部分、モザンビーク、モ一リシャス、ソマリア、ジンバブエには無い)
ペストザイール、ウガンダ、マダガスカル
リーシュマニア内臓型;主としてケニア、スーダンなど東アフリカ
皮膚型;地中海沿岸の北アフリカやエチオピアの村落
住血吸虫ナイルデルタ、サハラ以南、マダガスカル
狂犬病アフリカ全域
トリパノゾーマ
(睡眠病)
ウガンダ、ルワンダ、ザイールから熱帯アフリカ西海岸一帯、ケニア、タンザニア、ザンビア、ボツワナ、南ローデシア
ウイルス性出血熱ラッサ熱;ナイジェリア、シエラレオネ
エボラ出血熱;ザイール、スーダン
クリミア・コンゴ出血熱;アフリカ中南部
マールブルグ出血熱;ケニア
ポリオアフリカ全域
サルポックス症中・西部の熱帯雨林


Ⅳ 中南米
病 気流 行 地
感染性腸炎(赤痢などの下痢、腸チフスなど)中南米全域、特にブラジル、ペルーの村落で罹病率高い、チリ、コスタリカは罹病率低い
毒素原性大腸菌などの病原大腸菌、赤痢、カンピロバクターなどの細菌性下痢が多い
小児はロタウイルス
コレラペルー、アンデス高地地方、アマゾン流域ジャングル、メキシコ湾岸地帯(コスタリカ、ホンジュラスは安全)
肝炎アマゾン河盆地はA型、B型、O型肝炎の大流行地
黄熱赤道を中心とする南北緯度15°の範囲の森林に常在
デング熱力リブ海諸島、メキシコ、熱帯中・南米地方
マラリアカリブ海諸島、中米、ブラジル、ペルー、ギアナ、ボリビア、パラグアイ、エクアドルなど熱帯南米地方、特にハイチ、ドミニカ、コロンビア、ギアナ、ブラジル、エクアドル、スリナムは熱帯熱マラリアが多い
オンコセル力メキシコ南部、グアテマラ、ヴェネズエラ、コロンビア、エクアドル、ブラジルに風土病となっている地方がある。高度500~1500m、急流のある湿った森林地帯
ペストペルー、エクアドル、ボリビア、ブラジルにペストが発生する地方がある
リーシュマニア内臓型;メキシコ、ホンジュラス、エルサルバドル、グアテマラ、コロンビア、ヴェネズエラ、ブラジル、パラグアイ、ボリビア
皮膚型;ユカタン半島からアルゼンチン北東部迄の森林地帯
住血吸虫マンソン住血吸虫;カリブ海諸島、ブラジル、ヴェネズエラ、スリナム
狂犬病中・南米全域、特にアルゼンチン
トリパノゾーマ(シャガス病)ブラジル、アルゼンチン、ウェネズエラ、ボリビア、チリ、ペルー、ウルグアイの村落、これ以外にメキシコ、パラグアイ、パナマ、コロンビア、エクアドル、エルサルバドルにも発生する
ウイルス性出血熱アルゼンチン出血熱;アルゼンチンの農村で夏から秋に発生
ボリビア出血熱;ボリビアの農村で発見されたが、流行地のゲツ歯類の駆除で過去30年流行していない
ヴェネズエラ出血熱;ヴェネズエラのグアナリト周辺に散発
ブルセラメキシコ、ペルー、アルゼンチン


V 南欧、東欧の一部
病 気流 行 地
感染性腸炎
(赤痢などの下痢、腸チフスなど)
散発的に発生
コレラ東欧の一部から報告がある
肝炎A型肝炎;東欧諸国に分布
B型肝炎;アルバニア、ブルガリア、ルーマニアで風土病的に存在
リーシュマニア皮膚型;地中海、アドリア海、エーゲ海沿岸
発疹チフス地中海沿岸地方に散発
ジフテリアロシア、ウクライナ、ベラルーシ
狂犬病狐による狂犬病がある。ヨーロッパ諸国で英国、アイルランド、アイスランド、北欧3国に狂犬病は存在しない
ウイルス性出血熱クリミア・コンゴ出血熱;ブルガリア、ユーゴスラビア、クリミアなど東欧及びギリシャ


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