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1.アニサキス Anisakis

【事例】

 58歳女性。魚の卸屋から初鰹を仕入れて自分で刺身にして食べた。食後8時間後に、上腹部の疼痛、 吐気、不快感が出現。服薬して様子をみていたが、3日目になっても症状が軽快しないので病院を訪れた 。内視鏡検査を行ったところ胃の内部に多数のアニサキス幼虫を発見。56匹を摘出した。(臨床寄生虫誌2巻p117から)


図29 胃内のアニサキス(胃内視鏡写真)



【感染リスク】

 この成虫はクジラの腸管に寄生している。クジラの便とともに海中に排出された虫卵は孵化して、 幼虫となる。これは食物連鎖に伴って、各種魚介類の内臓あるいは筋肉に寄生する。人体への感染経路 としては、スシやサシミによるものが主体である。アニサキス幼虫は全長2~3cmの虫であるが、魚肉内 では、とぐろをまいて2~3mmの袋におさまっている。

【症状と診断】

1.ヒトの胃の中に入ったアニサキスは鯨の体内と勘違いして胃壁に侵入しようと試みる。ヒトはこの攻撃を感じないが、アニサキスが繰り返し胃壁に再突入を試みている間に激しい胃炎が発生する。
2.アニサキスは人体では発育できないため最終的に死滅するが、この間に胃壁や腸壁を通過して腹腔や内臓に達することもある。

※魚肉中には、アニサキスの他、シュードテラノバ、コントラシーカムなど別の寄生虫も含まれる。時にアニサキスよりやや大きいテラノバ型の幼虫が人体から検出される。


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